~双極性障害(双極性感情障害)で通院中の方へ~
「最近、睡眠時間が短くても元気。」
「以前よりイライラしやすい。」
「家族に『怒りっぽくなった』と言われた。」
「買い物が増えている。」
このような変化はありませんか?
夏は、双極性障害(双極性感情障害)の方にとって、躁状態や軽躁状態へ傾きやすい季節であることが知られています。
日照時間が長くなり、活動量が増えることで体内時計(概日リズム)が変化し、気分が高まりやすくなることがあるためです。一方で、**すべての方に当てはまるわけではなく、季節による影響には個人差があります。**しかし、季節の変化が気分の波に影響を与える患者さんは少なくありません。
「調子が良い」と「躁状態」は違うことがあります
軽躁状態では、ご本人は
「今が一番調子がいい。」
「仕事がはかどる。」
「何でもできそう。」
と感じることが少なくありません。
しかし、実際には病気による気分の高まりである場合があり、本人には気付きにくいことが特徴です。
こんな変化はありませんか?
以下のような変化が続いている場合は、一度振り返ってみましょう。
- 睡眠時間が短くても疲れない
- 話す量やスピードが増えた
- アイデアが次々浮かび、頭が休まらない
- イライラしやすい、怒りっぽい
- 自信がいつも以上に大きくなっている
- 高額な買い物や衝動買いが増えている
- クレジットカードの利用額が増えている
- 投資や大きな契約を勢いで決めてしまう
- 約束や予定を詰め込みすぎる
- お酒を飲む機会が増えている
「躁状態」というと、明るく元気な状態を想像される方も多いですが、実際には怒りっぽさや攻撃性、焦り、不機嫌さとして現れることも少なくありません。
「以前より短気になった。」
「些細なことで腹が立つ。」
このような変化も、躁症状のサインである可能性があります。
浪費は躁状態の代表的なサインです
双極性障害では、気分が高まることで判断力が低下し、
- 高額商品の衝動買い
- ブランド品を次々購入する
- ネットショッピングが止まらない
- クレジットカードを使い過ぎる
- 投資や副業に大きなお金を使う
などの行動がみられることがあります。
その時は「必要な買い物」「良い投資」と感じていても、気分が落ち着いてから後悔するケースは珍しくありません。
夏を安定して過ごすためのポイント
気分を安定させるためには、生活リズムを保つことがとても大切です。
- 毎日できるだけ同じ時間に寝て起きる
- 睡眠時間を削らない
- お薬を自己判断で中止しない
- 飲酒を控えめにする
- 高額な買い物は一晩考えてから決める
- 家族や周囲の人に変化を教えてもらう
双極性障害では、「少し気分が高いかな」という段階で対応することが、大きな躁状態を防ぐことにつながります。
気になる変化があれば、早めにご相談ください
双極性障害では、症状が悪化してからではなく、「少し様子が違う」と感じた段階で相談することがとても大切です。
夏は活動的になりやすい一方で、その反動として大きな気分の落ち込みが訪れることもあります。
ご自身では気付きにくい変化もありますので、ご家族や身近な方から「最近少しハイじゃない?」と言われた場合も、一つのサインかもしれません。
無理を続ける前に、気になる変化があればお気軽にご相談ください。
早めの対応が、安定した毎日につながります。
参考文献(References)
- Geoffroy PA, Bellivier F, Scott J, Etain B. Seasonality and bipolar disorder: A systematic review, from admission rates to seasonality of symptoms. Journal of Affective Disorders. 2014;168:210-223. doi:10.1016/j.jad.2014.07.002.
- American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition, Text Revision (DSM-5-TR). American Psychiatric Association Publishing; 2022.
- Yatham LN, Kennedy SH, Parikh SV, et al. The CANMAT and ISBD Guidelines for the Management of Patients with Bipolar Disorder. Bipolar Disorders. 2018;20(2):97-170.
※本記事は一般的な医学情報を提供することを目的としており、個々の症状や治療方針を示すものではありません。気になる症状がある場合は、主治医へご相談ください。


