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🧠🎌仕事はできるのに休めない人へ|“止まれない脳”の正体と対処法


仕事は問題なくこなせる。
責任も果たしている。

それなのに、家に帰ると動けない。
休日は回復どころか、ただ寝て終わる。

「甘えているのではないか」
「気合が足りないのではないか」

そう自分を責めていませんか。

しかしこの状態は、性格の問題ではなく、神経系の過活動によって起こることが少なくありません。


目次

1. 仕事はできるのに、なぜ家で動けなくなるのか

外では緊張感を保ち、判断し、対処し続ける。
その間、脳は“軽い戦闘状態”を維持しています。

このとき優位になるのが交感神経です。
交感神経は活動・集中・緊急対応を担う神経系です。

問題は、仕事が終わってもそのスイッチが切れないことです。

・寝つきが悪い
・眠りが浅い
・胃腸が不調
・肩こりや動悸がある
・常に頭の中が動いている

これは「止まれない脳」の状態です。


2. 休めない人に共通する特徴

臨床でよくみられる特徴があります。

1)完璧主義傾向
2)責任感が強い
3)他者評価に敏感
4)常に次の課題を考えている
5)休むことに罪悪感がある

これらは能力の高さと表裏一体です。

しかし、慢性的なストレス環境が続くと、自律神経のバランスが崩れやすくなります。


3. 「止まれない脳」の生理学

慢性ストレスは、自律神経系とHPA軸(視床下部―下垂体―副腎系)に影響を与えます。

研究では、バーンアウトや慢性疲労のある人では、
副交感神経活動(特に迷走神経活動)の低下が報告されています。

副交感神経は「回復・休息」を担う系です。
この機能が弱まると、身体は回復モードに入りにくくなります。

また、慢性ストレスは「アロスタティック負荷」と呼ばれる生体の摩耗を引き起こすとされます。
これは、長期的な交感神経優位状態による身体への負担を指します。

つまり、

休めない = 意志が弱い
ではなく

休めない = 神経系が過活動状態

という理解が重要です。


4. 燃え尽きと仮面うつの違い

燃え尽き(Burnout)は主に仕事に限定された疲労感が中心です。
環境調整で改善することが多い。

一方、仮面うつでは

・身体症状が前面に出る
・朝の不調が強い
・楽しみが減る
・集中力が落ちる

といった特徴がみられます。

後者は医療的介入が必要になることがあります。


5. なぜ優秀な人ほど危険なのか

優秀な人ほど、

・限界まで耐えられる
・周囲に弱音を見せない
・成果を出し続けられる

その結果、周囲も本人も「大丈夫」と誤解します。

しかし神経系は静かに消耗しています。

倒れる直前まで走れてしまうことが、最大のリスクです。


6. 医療でできること

・睡眠の質の改善
・不安の調整
・自律神経の安定化
・軽度うつの早期介入
・必要に応じた薬物療法
・心理療法的アプローチ

薬は必ずしも強いものを使うわけではありません。

少量の抗うつ薬や抗不安薬で神経過活動を鎮めることで、
「休める脳」に戻るケースもあります。

重要なのは、早期介入です。


7. 受診の目安

・休日も回復しない
・寝ても疲れが取れない
・イライラが増えた
・身体症状(胃痛・動悸・頭痛)が続く
・気力が落ちてきた

これらが続く場合は、一度相談をおすすめします。


まとめ

休めないのは、弱さではありません。
それは「高機能な脳が過活動を続けた結果」です。

止まれない脳は、調整できます。

壊れる前に、整える。
それが最も合理的な選択です。


当院では、慢性疲労、不眠、軽度うつ、燃え尽き症候群の評価と治療を行っています。
ご不安がある方は、早めにご相談ください。


【参考文献】

McEwen BS, Stellar E. Stress and the individual: mechanisms leading to disease. Arch Intern Med. 1993;153(18):2093-2101.

McEwen BS. Protective and damaging effects of stress mediators. N Engl J Med. 1998;338:171-179.

Thayer JF, Lane RD. A model of neurovisceral integration in emotion regulation and dysregulation. J Affect Disord. 2000;61:201-216.

Kim HG et al. The relationship between heart rate variability and burnout. Psychiatry Investig. 2018;15(3):235-245.

Grossi G et al. Burnout and autonomic nervous system activity in women. Psychosom Med. 2005;67(2):301-308.

American Psychological Association. Stress effects on the body. APA Publications.

World Health Organization. Burn-out an occupational phenomenon: International Classification of Diseases 11th Revision (ICD-11). 2019.

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